調理によって性質を使い分ける
調理では、必要な性質を生かし、望ましくない性質を処理や配合で抑えるという視点が大切になる。涼・補の食材から補を得たい場合の加熱などは、その意図を説明する例となる。個々の料理では、原典が明示した変化と、料理観に基づく考察を区別する。
| 処理・利用形態 | ⑤で確かめること |
| 冷製・常温・温製 | 飲食時の温度と、食養上の温涼を分ける。冷やす前の加熱・抽出の履歴も記す。 |
| 煮る・蒸す・煎じる | 食材全体か汁だけか、煮汁を残すか、繰り返し抽出するかを分ける。 |
| 焼く・炒める・揚げる | 乾熱か油を用いるか、前処理や副材料を記す。補・温等の変化は個別の出典で確認する。 |
| 乾燥・焙煎・燻製 | 天日・温風・煙など工程を区別する。そのまま食べるか、戻して煮るかも記す。 |
| 塩蔵・発酵・熟成 | 原料名だけでなく、塩、微生物、期間、完成した食品の種類を区別する。 |
| 配合・粉砕・搾汁 | 材料の性質を併記し、何を生かし何を抑える意図かを記す。固形部を残すかも重要となる。 |
原典が具体的に示す三つの例
大豆:燥寒虚の食養で炒る等により寒涼性を除き、豆乳にする。柿:生柿の潤・涼・補から干し柿の潤・平・補へ、温涼の評価を変える。油揚げ:揚げ油で補を強調する一方、涼は残ると説明する。〔S08 PDF36・58・172頁/S03 PDF173頁〕
このため、加熱・乾燥・燻製という方法名だけで一律に温・補へ変更しない。具体的な変化が確認できる食品では、その変化と対象を記す。乾貨の価値は保存、食感、調理工程、希少性などとも関わり、価格だけを作用の強さの根拠にはしない。
煎液、丸薬、外用などは薬物の利用形態の比較に役立つが、食べる料理と同じ投与経路ではない。薬材を含む配合や外用は利用史として区別し、日常食のレシピに自動変換しない。