
では大嘗祭とは何を目的としているのか、それについて自説を述べたいと思います。
大嘗宮の建築物としての構造は広く知られるところですが、その「秘中の儀」といわれた大嘗祭の内容については全く知られていませんでした。それがある程度明らかになったのは、皇室の祭祀実務を担当した神道の名家である鈴鹿家秘蔵の文書「鈴鹿家文書」(以下「文書」という)が公開されたことによります。
「文書」によれば、悠紀殿と主基殿には全く同じ配置でふたつ神座が置かれ、主となる座は八重畳の寝座ですが、伊勢神宮の方角に向けて従となる神座とその手前に天皇の御座が置かれます。
大嘗祭は2部の構成で、まず14日午後9時に伊勢神宮内宮に向けて悠紀殿供饌の儀が、そして翌日午前3時伊勢神宮外宮に向けて主基殿供饌の儀が行われます。これは千木の内削ぎか外削ぎかで判断できます。
新嘗祭は言わば収穫の感謝を目的とした祭祀ですが、大嘗祭は天皇つまり神道の最高権威者としての祭祀長になるための霊的な儀式だと言えます。したがって折口の言うように天孫降臨と関連付けるのはある部分説得力があるわけです。