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大和心

第128回 司馬遷-2

著者:小山一夫 / 公開日:2022-08-29

掲載準備版・未公開。公開日は元ブログの投稿日です。

その後の司馬遷は全身全霊を傾けて、史記の完成に向けて没頭。

10数年の努力が実り、130編に及ぶ史記が完成します。彼は武帝の目に触れることを恐れ、この稀代の歴史書を封印すると共に後世の評価を待つ道を選びました。この司馬遷が記した史書は、当初「太史公書」或いは「太史公記」と呼ばれていましたが、魏晋時代になって「史記」と称されるようになります。

史記は紀伝体で記されており、「本紀」「表」「書」「世家」「列伝」の5部から成ります。526500文字。「本紀」30巻 歴代王朝の変遷を述べた年代記、「表」 10巻 列国の世系年代を記述、「書」8巻 国家の諸制度・文化技術などの記録、「世家」30巻 封建諸侯の年代記、「列伝」 全70巻 個人の伝記です。

史記が他の多くの歴史書と異なる点は、勅命によるものでない点です。

これは父の死によって著作の動機が成立し、李陵将軍の一件で司馬遷自身の苦悩に満ちた心情が溢れ出たものであり、言わば個人の凄まじいばかりの執念と熱情が世界史に名を残す書として結実したものだといってよいでしょう。

この書は清の乾隆帝の代に中国の正史と定められました。

司馬遷の才は凡そ1900年の歳月を経て正式に高い評価を受けたことになります。たとえ個人の業績であっても、本当に価値のあるものであればいつか世に認められるということを実証する好例だと思います。ただ単に目先の評価だけを気にするよりも、私は質的な真の素晴らしさを追求することに美学を感じます。(史記を読まれたい方には、平凡社の中国古典シリーズをお薦めします。他にも多くの素晴らしい書があるので1度目を通されるといいでしょう)

<参考>

中国の歴史書では他に、「漢書」(班固著)、「後漢書」(范曄著)、「三国志」(陳寿著)、「春秋左氏伝」(左邱明著)、「十八史略」などが面白いです。