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大和心

第154回 武道と神伝-5

著者:小山一夫 / 公開日:2022-10-25

掲載準備版・未公開。公開日は元ブログの投稿日です。

②のケースでは、塚原卜伝が鹿島神宮千日間の参篭最後の夜に夢の中で建御雷神大神から一の太刀の秘剣を神託された話に始まり、伊藤一刀齊、林崎甚助、上泉伊勢守等々が霊夢により神伝を得ています。

この様にこの種の体験があたかも名人達人の条件の一つであるかのような印象ですが、一概に「凄い」と思う前に、まず神秘(的)体験と医学的な見解について検討したいと思います。

例えばヨーガでは、多くの行者がクンバカなどの呼吸の停止や極端に遅い呼吸により血中酸素濃度を低下させ、脳の酸欠によるニューロン間の異常放電を引き起こすことで神秘的体験を経験しているわけですが、武道に於いてはこのような呼吸制御よりも、厳しい極限修行によるいわゆるランナーズハイ的な可能性が先ず考えられます。

そこで例えば天狗などの神仏の化身等に出会うわけですが、元より相当に鍛え上げた名人達人であるため、単なる記憶の表出では終わりません。そのあたりが天賦の才の所以でしょう。

潜在的記憶の表出やシャルルボネ現象を切っ掛けとして一種の直観的閃きを得、日頃、文字通り命懸けで突き詰めてきた難しい課題の答えを得てしまうのです。

その直観智こそが名人達人の研ぎ澄まされた比類なき武功の賜物であり天賦の才なのでしょう。

ヨーガや宗教の行者であれば、単に何らかの現象を体験した時点で自己満足しがちですが、武道家達はそれを踏み台にして個々の課題を解決しようとします。