巷間の一般的な習い事では受講料を払えば大概習うことができますが、それは生徒が先生を選ぶ関係といえます。ですが反対に教える側が習う人を選ぶケースがあり、私はこのケースを師弟関係の典型と考えています。
一例を挙げると、40数年前、古神道の師に指導を受け始めた時、ついに運命の師に出会えたと喜びました。そして真剣に修業を積み7年が経った頃、師から「今日は門人帳に署名して頂きます」と言われたのです。
門人帳などという言葉さえ知らずにいた自分にとって、最初は何のことかわからなかったのですが、次第にそれが極めて重要なことだと分かりました。
門人制とは誓約をたてて正式に入門する形式を言いますが、その門人帳に署名することによってはじめて師から門下生、あるいは門弟と認められるというわけです。つまり7年もの間、師弟関係だと思い込んでいたのは私の誤解だったということです。私はその時まで生徒として先生に指導を受けていたということです。
門人帳をめくった時、数年に一人という頻度だったと記憶していますが、当時指導を受けていた数多くの人達の中から選んで頂いたということになり、感謝とともに責任感というか使命感を強く意識しました。