明治34年の御製です。
民のため 年ある秋を いのる身は
たへぬあつさも いとはざりけり
明治神宮の「365日の大御心」では、次のような口語訳になります。
「国民のため稔り多い秋を祈るこの身は、耐えきれないような夏の暑さも、稲の生育のためと思って、少しも苦にならないことだ。」
天皇陛下がその年に収穫された初穂を天照大神に捧げる祭祀は神嘗祭です。
神嘗祭は元々伊勢神宮で行われていた神事で、明治4年以降は、幣帛使の神宮派遣に加えて、宮中賢所でも天照大御神に神饌を献上する神嘗祭の儀式が行われるようになりました。
新嘗祭は記紀にもあるように、神武天皇の頃から最も重要な宮中祭祀として位置づけられています。
この二つの神事は、神への感謝を捧げる重要な神事なのです。
(天皇が即位の礼の後に行う最初の新嘗祭を大嘗祭といい、これを行わない天皇は「半帝」と呼ばれます)
神嘗祭 - 10月17日。
新嘗祭 - 11月23日より24日。
明治天皇の御即位後34年、まさに激動の時代でした。
戊辰戦争、西南の役などの内戦、廃藩置県などの国家体制の転換、神仏判別例などの宗教政策、憲法制定、帝国議会開設、日清戦争、三国干渉等々、明治天皇も御心の休まる間もないほど大変だったと思います。それらを経て、漸く落ち着いた世となり、神々に初穂を捧げることができたという、天皇陛下の真摯な祈りと平和を願う大御心が詠まれているように思います。