又、吾国の帰神術は皇典に依拠して行ふ者にして、神懸には神主(媒霊者)、弾琴者(降霊者)、審神者(審判者)の三役を具備せざるべからず。時として或は審神者の降霊者を兼ねる事あるも、神主と審神者とは必ず具へざるべからず。一を欠きて正真の神懸を謂を得ず。殊に審神者は博学宏才にして顕幽の理に明なる人材ならざるべからず。神主は憑霊中は自己の意識なき者(述者の解=翁の意識なき者とは、催眠的状態ではなく、無我であっても精神は判然(ハッキリ)としている状態を云う)なれば審神者は憑依の神名を問い、最も精密に質問して宜しく憑依の霊が真神なるや偽神なるや、正神なるや邪神なるや又は何れの階級の霊なるやを明にし、其託宣の正邪真偽適否等を最も精密に審査して判断し、信ずるに足るや否やを決定するは審神者の任務なりとす。而して神主と雖も、昇神の後は自己の意識に復する者なれば、審神者の意見を聞きて始めて信憑すべきや否やを定むべきなり。
右に述べた如く、長沢翁は審神者たる者の重要性を強調して居られる。なお本田翁の遺された神伝秘書に「審神者の覚悟」として、大要を示されたものは左の如くである。
一、過去現在未来ヲ伺フベシ
ニ、実神ナルヤ偽神ナルヤ弁ゼズバアルベカラズ
三、神ノ上中下ノ品位ヲ知ラズバアルベカラズ
四、神ノ功業ヲ知ラズバアルベカラズ
五、荒魂和魂幸魂奇魂ヲ知ラズバアルベカラズ
六、天神地祗ノ分別無カルベカラズ
七、神ニ参等アルヲ知ラズバアルベカラズ
八、神ニ公憑私憑アルヲ知ラズバアルベカラズ
右の八項目に就いて詳しく解説すべきでは有るが、いづれかの時期を見て申述べる事とする。』(「顕神本田霊学法典」)