2022-03-31 著者:小山一夫
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『あなたが私に「歌え」とお命じになると
わたしの胸は いつも
誇らしさではりさけんばかり。
そんなとき、あなたのお顔を仰ぎ見ると、
わたしの目に 涙がこみあげる。
わたしの命のなかの耳ざわりな不協和音は
ことごとく ひとつの甘い調べに融け
わたしのあなたへの敬慕は
嬉々として海原を渡り翔ぶ渡り鳥のように
翼をひろげる。
わたしは知っている
わたしが歌えば、あなたが嘉してくださるのを。
わたしは知っている
歌人としてのみ、わたしは
あなたの御前に出られるのを。
遠くひろげた わたしの歌の翼の先端で、わたしは 届こうとなど夢にも願わなかった あなたの御足に触れる。
歌う歓びに酔いしれて、つい我を忘れ、わたしは
わが主たるあなたをしたしげに「友」と呼んでしまう。』
「ギータンジャリ」、タゴール著作集(第3文明社)
インドの詩聖タゴール(1861~1941)
インドの近代化を促すとともに、東西文化の融合に努めました。
1914年に詩集「ギータンジャリ」で東洋人として初めてノーベル文学賞を受賞。
彼は哲学者デベーンドラナート・タゴールの息子として、カルカッタに生まれました。
子供のころから詩を書き始め、17歳の時に処女作を出版。
法律を学ぶためイギリスに留学し、帰国後、それまでに書き溜めた詩、短編、小説、戯曲を発表して、植民地時代の代表的作家となりました。
彼の作曲した数百の歌はひろく一般に親しまれ、1929年からは絵画など、広い分野で才能を発揮しました。
苦しい時に、しばしば彼の詩集を開きます。
いろんな訳者の方が翻訳していますが、私はこの本の言葉遣いが好きです。