2022-08-27 著者:小山一夫
原文保存・医学的校閲前/画像は元サイトから読み込みます。
ヘルマンヘッセの作品の中でどれが最も読まれているか、ある説によれば日本では「車輪の下」(1906年刊行・ヘッセ29歳の時の作品)だそうです。
この作品は確かに初期のヘッセ作品の中では広く知られていますが、欧米では「シッダールタ」(1922年刊行・ヘッセ45歳)が最も読まれているそうです。
ヘッセ研究の第一人者として知られる高橋健二先生も「シッダールタ」がヘッセの代表作だとし、高く評価されています。
ヘッセの作品はいろんな方が翻訳されていますが、一通り読んだところでは、新潮社の高橋先生の翻訳が最も素晴らしいと思います。
私はドイツ語に無知なので、翻訳の精度についてはわかりませんが、生前のヘッセに3度も面会され、内容の濃い研究書を多数出されているのをみても、そしてその格調高い文体からも、高橋先生の翻訳が一番好きだし評価しています。
この本は永きにわたって私の人生のバイブルと言うか、座右の書でした。離れ小島に一冊だけ本を持ち込めると言われたら、きっとこの本を持参することでしょう。
私は大好きな作家や映画監督などについては、制作年代順に一通り読んだり観たりする様にしています。そうする事によってその芸術家の魂の変遷の一端を感じる事ができそうな気がするからです。
ヘッセについても翻訳されているものを可能な限り集め、年代順に何度も読みました。
作品で言えば、1919年の「デミアン」あたりから作風が変わります。その兆候はそれ以前の「クヌルプ」(1915年)にも見られますが、丁度戦争の時期に重なっています。(1914年は第一次世界大戦の始まった年)