2022-06-29 著者:小山一夫
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映画「肉体の悪魔」、レイモン・ラディゲ原作。1947年仏。
監督:クロード・オータン・ララ
出演者:ジェラール・フィリップ 、ミシュリーヌ・プレール
第1次世界大戦末期のパリ。
ジェラール・フィリップが演じる高校生フランソワと看護婦マルトの哀しい愛の物語です。ラディゲの原作の素晴らしさが実によく映像化されています。
この原作は、後にオーストラリアで1985年に、1986年にはイタリア・フランスの合作でリメイクされていますが、ジェラール・フィリップ主演の第1作目にはとてもかなわないと思います。それほどにこの1947年の作品は細部まで完成度が高いといえます。
この原作はラディゲ(1903-1923)の処女作であり代表作です。
ジャン・コクトーに支持されてこの作品は世に出ましたが、惜しむらくは彼が20歳で他界したことです。もうひとつの名作「ドルジェル伯の舞踏会」は1924年、彼の死後に刊行されました。
ラディゲは私の大学時代、フランス語のレポートに選んだ作家でしたが、ラディゲ全集(雪花社刊)を熟読するたびに、彼の文学的才能と洞察の深さに驚いたものです。
世の中には天才といえる人間が本当にいるのだとあらためて思いました。
「レイモンよ、
世界は君のために価値に満ちみちていた!
空いっぱいに、その高さまで君の椅子だ。
君は冷たくて気持ちのいい空気の中で
僕らの生活を真理に変える
君は言葉もなく身じろぎもしないで
夜通し見守っていた
君の兄弟の天使たちが君から離れないようにと
君は、君がいつも生活している空まで昇る。
君は、精神で生きる、
君を迎え入れるのは精神なのだ。
いきいきとした花と葉の緑の茂みの上に。
しずかな文字の愛! ああ愛よ!」
「レイモン・ラディゲの精神」
マックス・ジャコブより