
2023-02-08 著者:小山一夫
原文保存・医学的校閲前/画像は元サイトから読み込みます。
『外科の研修医をしていた頃、私は胃がんの全摘手術をしたKさんの主治医として経過観察をしていました。何事もなく2年ほどたったある日のこと、つき添いで来られたKさんの娘さんが厳しい顔で私に詰め寄ってきました。
「先生、父は栄養失調じゃないですか。ほとんど動けない状態なんです」
驚いて真正面からKさんに向き合うと、頬はげっそりこけて生気がありません。あわてて体重を量ると、2年前70キロあった体重が42キロにまで落ちていました。BMIは14.9キロ/平方メートル。重度の低体重です。
私は2年間Kさんの胃がんを観察し、転移や再発がないかを注意深くチェックして、主治医としての責任を果たしてきたつもりでした。ところが私が見ていたのはKさんの胃がんだけで、Kさん本人ではなかったのです。
この症例はすぐ外科のカンファレンスで提示され、私は外科部長から厳しく指導されました。「栄養管理ができない医師は主治医になる資格はない」と言われたのをはっきり覚えています。』
こういう医師に出会いたいものです。
私的には稀ですが、二度と会いたくないような先生に遭遇することもありますので。
『医師は疾患だけにとらわれずに患者さんの体調や栄養状態など全体像を把握することが重要です。かかりつけ医として地域医療に携わる医師ならなおさらのことだと思います。持病の薬を処方するだけでなく、体重や血圧、脈拍、処方薬、そして生活スタイルにも変化はないか、細かな観察も必要です。』
私の祖父も言っていましたが、親身に話を聞いてくれる掛かりつけ医を持つことが大事だとつくづく思いました。