一般財団法人 野萩青少年育成財団

新論

先行公開・2026年10月11日

第2回 第38

第38

原文

謹みて按ずるに、神州は太陽の出づる所、元気の始まる所にして、天日之嗣、世々宸極を御したまひて、終古易らず、固より大地の元首にして、万国の綱紀なり。

誠に宜しく宇内に昭臨し、皇化の暨ぶ所、遠邇有ること無かるべし。

而るに今、西荒の蛮夷、脛足の賤を以て、四海に奔走し、諸国を蹂躙し、眇視跛履、敢て上国を凌駕せんと欲す。

何ぞそれ驕れるや。

地の天の中に在るや、渾然として端無く、宜しく方隅無きが如くなるべきなり。

然れども凡そ物には自然の形体有りて存せざるは無し。

而して神州は其の首に居り。

故に幅員甚しくは広大ならず。

而して其の万方に君臨する所以のもの、未だ嘗て一とたびも姓を易へ位を革めざるなり。

西洋の諸蕃は、其の股脛に当る。

故に舶を奔らせ舸を走らせ、遠しとして至らざるなきなり。

而して海東の地、西夷の名づけて亜墨利加洲と曰ふ者に至りては、則ち其の背後なり。

故に其の民愚戅にして、為す所有る能はず。

是れ皆自然の形体なり。

現代語訳

謹んで考えるに、神州は太陽の出るところ、元気の始まるところである。

天日の嗣が代々宸極に臨まれ、はるか昔から変わることがない。

もとより大地の元首であり、万国の綱紀である。

まことに、あまねく世界を照らし臨み、皇化の及ぶところに遠近の隔たりがあってはならない。

ところが今、西方の荒れた蛮夷は、脛や足ほどの賤しい分際でありながら、四海を奔走し、諸国を踏みにじり、片目で見、びっこを引くようなありさまで、あえて上国を凌ごうとしている。

なんと驕ったことか。

地が天の中にあるさまは、混然として端がなく、方角も隅もないかのようであるべきだ。

けれども、およそ物には自然の形体があって、それのないものは存在しない。

そして神州はその頭に位置する。

だから国土はそれほど広大ではない。

それでも万方に君臨するゆえんは、いまだかつて一度も姓を変え、位を革めたことがない点にある。

西洋の諸蕃は、その股や脛に当たる。

だから船を走らせ、遠いところとして至らないところがない。

さらに海の東、西夷が亜墨利加洲と名づけている地に至っては、その背中である。

だからその民は愚鈍で、なすところがない。

これらはみな、自然の形体なのである。

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