一般財団法人 野萩青少年育成財団
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絵と人生と

2022-04-28 著者:小山一夫

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『人生とは、一枚の繪を書き上げる様なものではないか、その人の存在が美しかったか醜い存在であったか、尊い存在であったか価値なく生きて居たかは、棺を履いてから判ると云う。

絵の美しさも、醜さも、筆を措いたときに判る。

(中略)
人間の生活には裏もあり表もある。美もあり醜もある。

人生の美しさばかり、世の中の美ばかり、人の善意ばかり表現して、人生を甘いものと想定せよとは云わぬが、もう少し明るく表現できぬものか、芸術は美を必要とする。

此の画家は美の神にそむいてのか、暗い顔の人だろう。


私達の毎日毎日の生活も、画を描いて居るようなものではないか。

一生を一枚の繪と考えたら、此の毎日毎日が、繪の具をカンバスに塗っている一筆一筆ではなかろうか。

今日とんでもない色を使って終へば、今日までの繪の構想、調和を破って終う、今日のきたない一筆は、今までの精進した美しい繪を醜いものにして終う。

又、何時の間にか、暗い色を使ひなれて、繪の調子を暗くして終いていたり、明るい色、即ち明るい言葉を使っての毎日で、明るい陽気な繪を作り上げて居る場合もある。

又、繪の企画がなく、自分の考えもなく、毎日何の考へもなく、いろいろの色を塗っていたのでは、繪そのものも出きないやうに、人生としての姿も出来ていないのもある。


繪も、塗り直して書き直せるやうに、人生もやり直しはできる。カンバスが傷まない限りは。

然し、それは、大きな時間の空費と、疲労を覚悟せねばならない。』

「炬」若月佑行著


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