2022-05-11 著者:小山一夫
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「シッダールタ」のクライマックスで、年老いたシッダールタは、若い頃の友、ゴーヴィンダに再会します。
幼い時から一緒だったゴーヴィンダは、遍歴の途中で仏陀の弟子になりますが、老年になっても悟りの手応えが得られませんでした。年月を経て再会した二人は互いに理解した事柄を語り合います。
そして最後にゴーヴィンダの望みを叶えるかのように、シッダールタは彼にシャクティパッドを施します。
このシーンはまさに圧巻です。
そしてヘッセは次のようにこの美しい物語を結びます。
「なんとも知れない涙が老いた顔に流れた。無常に深い愛と、無上につつましい尊敬の感情が心の中で火のように燃えた。身動きせずにすわっている人の前に、彼は深く地面まで頭を下げた。その人の微笑が彼に、彼が生涯のあいだにいつか愛したことのあるいっさいのものを、彼にとっていつか生涯のあいだに貴重で神聖であったいっさいのものを思い出させた。」(P159)
この作品は、物語の形式をとっていますが、技術的にもとても参考になります。
私も17歳から恐らく60回以上読み返していますが、読む度に感動を新たにし、またさまざまな発見があります。座右の書として、これからも大事に読み続けてゆくことでしょう。
「ヴァスデーヴァが彼に教えることができた以上に、川が彼に教えた。彼は川からたえず学んだ。何よりも川から傾聴することを学んだ。
静かな心で、開かれた待つ魂で、執着を持たず、願いを持たず、判断を持たず、意見を持たず聞き入ることを学んだ。」(「シッダールタ」新潮文庫P114)