2025-06-03 著者:小山一夫
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禅の十牛図について技術的な側面から解説します。
(「悟りに至る十牛図瞑想法」より)
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第3章 第八図 人牛倶忘
序
凡情脱落、聖意皆空
有佛處不用遨遊、無佛處急須走過
兩頭不著、千眼難窺
百鳥含花、一場懡*
凡(ぼん)情(じょう)脱落し、聖(しょう)意(い)皆空ず
有(う)仏(ぶつ)の處、遨(ごう)遊(ゆう)することを用いず
無(む)仏(ぶつ)の処、急に須(すべか)らく走過(そうか)すべし
両頭に著(じゃく)せずんば、千眼も窺(うかが)い難(がた)し
百鳥華を啣(ふく)む、一場の懡(も)*(ら)
頌
鞭索人牛盡屬空
碧天遼闊信難通
紅爐焔上爭容雪
到此方能合祖宗
鞭索(べんさく)人(じん)牛(ぎゅう)、尽(ことごと)く空に属す
碧天(へきてん)遼(りょう)闊(かつ)として信(しん)通じ難し
紅(こう)爐(ろ)焔上(えんじょう)、争(いか)でか雪を容(い)れん
此(ここ)に到って方(まさ)に能(よ)く祖宗に合(かな)う
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生前解脱と離身解脱
サンキャ哲学の現存する最古の原典は、イーシヴァラクリシュナ(350?-400)の著した「サーンキャ詩」だ。それ以前の同派関係の著作は全て散失し、今は断片しか残っていない。サーンキャ哲学は紀元前4世紀にはすでに、ひとつの哲学学派として成立していたわけだから、サーンキャ詩の思想の起源もその時代に求めることができる。紀元前4世紀といえば釈迦の時代にも程近いわけだが、当時からサーンキャ詩の思想は広く認知されていたと考えられよう。
ところで、このサーンキャ詩(第67-68)を見ると、解脱に二種類あると説かれている。それは「生前解脱」と「離身解脱」だ。
まず生前解脱だが、これは”解脱に達したら現世での生存を保てるかどうか?”という疑問に対する答えだ。これは解脱に到達してもそこですぐ死ぬわけではなく、予(あらかじ)め定められた寿命を全うしなければならないという思想である。つまり、「解脱してもなお生存し続けている状態を生前解脱という。」(「ヨーガとサンキャの思想」)ということだ。この状態は、「まだ精神と根本原質とが関係をたもっているから苦しみは厳然として存在する。ただ苦しみに対してまったく無関心となり、傍観者となって苦しみを感受しないのである。」(同書)という境地なので、客観的に観た場合、現実の苦しみを回避しているというわけではない。こう言われると”解脱したのになぜ悪いことが起こるのか”と素朴な疑問を持たれる方もいるだろう。