2025-06-18 著者:小山一夫
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禅の十牛図について技術的な側面から解説します。
(「悟りに至る十牛図瞑想法」より)
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第3章 第九図 返本還源
序
本来清浄、不受一塵
観有相之栄枯、処無為之凝寂
不同幻化、豈仮修治
水緑山青、坐観成敗
本来清(しょう)浄(じょう)にして、一(いち)塵(じん)を受けず
有(う)相(そう)の栄(えい)枯(こ)を観じて、無為の凝(ぎょう)寂(じゃく)に処(しょ)す
幻(げん)化(け)に同じからず、豈(あに)に修(しゅ)治(じ)を仮らんや
水緑に山青くして、坐(いながら)にして成敗(せいばい)を観る
頌
返本還源已費功
争如直下若盲聾
庵中不見庵前物
水自茫茫花自紅
本(もと)に返り源(みなもと)に還って已(すで)に功を費(ついや)す
争(いか)でか如(し)らん、直(じき)下(げ)に盲(もう)聾(ろう)の若(ごと)くならんには
庵中に見ず庵前の物
水は自ずから茫茫(ぼうぼう)、花は自ずから紅なり
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達磨から慧可に伝わった禅は、三祖僧璨(そうさん)、四祖道信、五祖弘忍を経て、六祖慧能に伝わる。その慧能の門からは、多くの偉大な禅師が輩出された。例えば、南嶽(なんがく)、馬祖、百丈、南泉、黄檗、趙州、臨済(臨済宗)、仰山(潙仰宗)、楊岐(ぎ)(楊岐派)、黄龍(黄龍派)、石頭、薬山、曹山(曹洞宗)、雲門(雲門宗)、法眼(法眼宗)など錚々たる顔ぶれが並ぶ。全てこの慧能の系統(南宗禅)だ。よく五家七宗と言うが、五家とは、雲門宗、臨済宗、曹洞宗、法眼宗、潙仰宗を、七宗とは、五家に楊岐派と黄龍派を加えたものをそれぞれ指す。弘忍には、他に神秀という優秀な弟子もおり、彼の系統は北宗禅と言われている
弘忍が第六祖を決める時の有名な話は、「六祖壇経」(慧能の説法集)に登場する。弘忍は継承者を決めるに際し、門下に「自ら会得した境地を偈(げ)で示せ」と告げる。そこで門下第一の秀才だった神秀は壁に次のような偈を書いた。
「身是菩提樹 心如明鏡臺 時時勤仏拭 莫使有塵埃」
(身は是れ菩提樹 心は明鏡台の如し 時時に勤めて払拭せよ 塵埃(じんあい)を惹かしむること莫れ)
修行僧たちは賞賛するが、ひとり米搗(つ)き小屋で働いていた慧能は、次のような偈を作った。
「菩提本無樹 明鏡亦無臺 本来無一物 何處有塵埃」
(菩提本樹無く 明鏡も亦台に非ず 本来無一物 何れの処にか塵埃を惹かん)
文字も読めず、有髪で受戒もしていないまま8ヶ月間米搗きの作務に励んでいた慧能だったが、彼の偈は弘忍の心を打った。そして弘忍より、代々伝えられていた達磨の袈裟と法を受け継いで、生地である新州(現在の広東省)へ帰ってゆく。その後、法性寺の智光律師から具足戒を受けて正式な僧侶となる。(僧侶資格のなかった慧能が六祖となるところがとても興味深い)