2026-04-02 著者:小山一夫
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昔書いた日記からいくつかアップします。
2002-9-22
「肉体の悪魔」レイモン・ラディゲ-2
ジャン・コクトー「ドルジェル伯の舞踏会」序文より
「レイモン・ラディゲは、1903年6月18日に生れた。
そして1923年12月12日に、その奇蹟的な生涯を、死期の来たのも知らずに終えたのである。文壇の批評によると、彼は乾いた心をもっているといわれていた。
レイモン・ラディゲは硬い心をもっていたのだ。彼のダイアモンドの心は、ちょっとした接触くらいには、反応を示さなかった。そのためには、別のダイアモンドと、火が必要であった。彼は、その他のものは、捨てて省みなかった。
運命を責めてはならない。不公平だと言ってはいけない。彼は最後まで年齢が異常な速さで進行する、大変な奴なのだ。<中略>
ここに、彼の最後の言葉をしるす。 12月9日に、彼はぼくにいった。
『ねえ、大変なことになってしまったんだ。あと3日すると、ぼくは神の兵士に銃殺されるんだって。』ぼくは涙で息が詰まりそうになって、それを打ち消す医者の言葉を思いついた。が、彼は、なおいった。
『きみのいうことは、ぼくのほど正確じゃないんだ。もう命令は与えられてしまったんだ。ぼくはその命令を聞いたんだ。』
その後で、彼はまたこういった。
『色が行ったり来たりしている。その色の中に隠されている人たちがいる。』
ぼくは、それらの人たちを追い出してやろうかと尋ねた。すると彼は答えていった。
『きみには、その人たちを追い出せはしないよ。なぜって、君にはその色が見えないんだもの』
それから彼は、無意識状態におちてしまった。
彼は口を動かしたり、ぼくらの名前を呼んだり、驚いたような表情で、その視線を彼の父母や、自分の手の上におとしていた。<中略>
ぼくが要求する唯一の名誉は、死後彼に与えられるであろう輝かしい地位を、生前すでに彼に与えていたことである。 」