2026-08-21 著者:小山一夫
原文保存・内容校閲前/画像は元サイトから読み込みます。
昔書いた日記からいくつかアップします。
傷寒論盲信派の欠点
次に何故我が国の漢方医学が傷寒論至上主義のレベルに止まり、その後進化できなかったかについて検討したい。
「傷寒論」は確かに中国医学に対して大きな貢献を与えたが、内容的には中国医学の入門書でもなければ基礎医学書でもない。其処に書かれているのは、古来からのバラバラな治療法の寄せ集めであり、其の文章も誤解し易い拙劣なものが少なくない。
日本漢方は当初金元四大家の医学に始まり、その後に傷寒論が入ってきた。金元医学のレベルは傷寒論を遥かに上回っていたにもかかわらず、古方家の台頭により懐古主義がはびこり、古いもの程よいという誤った思想から傷寒論を絶対視するようになった。その結果、理論的なアプローチと更なる研究を放棄し、薬物学、診断学も無視され、理論的な裏付けに乏しい直感的な判断での処方の決定という悪癖を広めてしまったのである。
方剤は薬物構成により理解するのではなく、ただ方剤名と症候群を無理に対比させて結び付けた。故に治療効果も期待通りではなく、次々に方剤を変えて処方し、偶然に治ってもどの方剤が効いたのか良く分からないと言う典型的な日本型漢方が生れたのである。
経験主義と症例主義に深く陥っている日本型漢方医学を全面的に改善する為には、素直な気持ちで中国医学の基礎理論から真摯に学び直す必要がある。当たるも八卦型の処方では西洋医学の足を引っ張りこそすれ、補完関係になる事はあり得ないだろう。