2026-09-13 著者:小山一夫
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昔書いた原稿からいくつかアップします。(「アスリートバイブル」より)
12.ブロードバンド化
100メートル走のスプリンターの全身の筋肉はスタートを切る直前にどのような状態になっているだろうか?彼の足の筋肉が強く力んでいたら、良いスタートなどとても望めない。逆に脱力していたらどうだろう?音を聞くやいなや、0.01秒を争う俊敏なスタートが切れるだろうか?
瞬発力を鍛えるトレーニングは様々あるが、単なる部分にとらわれずに、トータルに研究すべきだと思う。どんなに立派な筋肉が得られても、それだけでは充分ではない。
例えば自分の意志で腕を動かそうとする場合、その指令は、大脳皮質の運動野(ブロードマンの第4野)から出され、第5層のニューロンが興奮して、腕の骨格筋の運動を支配する頚髄の前角の運動ニューロンまで情報を伝える。この運動系の伝道路は、腕を動かす骨格筋まで繋がっており錐体細胞から発した神経信号を伝える道筋となっている。
つまり、この神経システムが鋭敏に働かなくては、瞬発力は期待通りに発揮されないわけだ。
それではどうすれば、この回路を最高度に使うことが出来るのだろう。上記の例で言えば、0.01秒を争う俊敏なスタートを切るためにどうすれば良いのだろうか?
その答えのひとつが、神経組織の活性化にある。私はよく腕を掴んでもらって、3種類の変化によりその違いを説明するようにしている。まずは、力を入れた状態、次に脱力した状態、そして筋肉を力ませずに神経だけを活性化させた状態の3種類だ。私はこの3番目の状態こそが、最高度の瞬発力を得るための要件だと理解している。それ故、各種のエクササイズやメディテーションを通して全身を活性化させるわけだ。
私はよく全身のブロードバンド化というが、これは脳の命令を如何に迅速に心身が受け止められるかを問題にしている。データ通信に喩えるならば、通常電話回線ではなく、光ファイバーでなければならない。その命令指示系統をブロードバンド化するのがヨーガの初期目的の一つなのだ。