一般財団法人 野萩青少年育成財団

中国医学の歴史

先行公開・2026年10月11日

第2回 前書き(2/3)

私は、中国医学がその後どのように発展していったのかを知りたくなった。そして、その探究の中で出会ったのが、張明澄先生の著作であった。

先生の本を読んだとき、私は大きな衝撃を受けた。そこには、日本で学んできた漢方医学とは異なる、中国医学全体の姿が描かれていたのである。

漢方とは、漢の時代に成立した湯液医学理論に基づく処方体系であること。その後、中国医学は、金元四大家による理論の発展、温病学の成立、さらに張錫純による中西医学融合へと、絶えず進歩を続けてきたこと。私は初めて、中国医学二千年の大きな流れを理解することができた。

しかし、張先生の代表的な専門書の多くは、すでに絶版になっていた。出版社もなくなり、古書店を探しても見つからない。どうしても全てを読みたい。その一心で私は先生の消息を探し始めた。

大学関係者に連絡を取り、ようやく先生と親交のあった方を探し当て、そこから張先生ご本人にたどり着いた。残念ながら先生の手元にも在庫はなかったが、教え子の薬剤師の方を紹介していただき、数か月をかけて、ようやく絶版になっていた専門書を入手することができた。

さらに私は、各時代を代表する中国医学の古典にも目を通した。翻訳されていないものも少なくなく、決して容易な作業ではなかったが、中国医学の歴史を一つひとつ辿ることによって、私の中に一つの確信が生まれた。

中国医学は、古典を守るだけの医学ではなかったのである。新しい病気が現れれば、新しい理論が生まれる。新しい知識が得られれば、それを柔軟に取り入れる。その積み重ねによって、中国医学は二千年以上にわたり発展を続けてきた。

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