貴方は、"自分のこゑ"を聞いたことがありますか。
自分の相談相手は 自分だけです。その聲を。
何年か前、世田谷の九品佛と云ふお寺の広間を借りて"美世"と云ふ会を開いた事がありました。画家達とその家族が集りました。
席上、座談会の題は「どうしたら仕合わせになるか」とかの題だった様です。兎に角今日は黙って皆様のお話を聞こうと思っていたのに、何時のまにか釣り出されて喋って居たらしいのです。その中、用があって中座して、又、会場に帰りますと、一生けんめいお喋りをして居る人がある。皆が私の顔をみてワーッと笑ふ。私は何の事か判らないでボンヤリした顔をしたら、又、皆が大笑ひしました。テープレコードお喋りしていたのです。私の聲が、何時のまにか録言されていたのです。
妙な気分ですね。自分の聲をきくのは。
さて、今云ふ自分の聲とは、別な意味のこゑです。
自分の腹の中から出て来る聲です。自分が自分に話しかけて、自分で返事するこゑです。
