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「片片草」 毒矢-1

著者:若月佑孔 / 元ブログ投稿日:2025-08-05

 

今日もこれから、お釈迦さまの説法が始まろうとしてゐます。
陽の光りも柔らいで梢のそよぎも靜かになって来ました。
林の中に集まって来たお弟子たち、舎利弗、阿難尊者を始めの大勢は靜かに坐をとりました。


お釈迦さまが立ち上って、お話を始めやうとなさったとき、一人の若い弟子が立ち上りました。皆がびっくりしてふり向くと、多勢の視線の中にさらされた恥かしさに赤くなり乍ら、然し、大きな声でお釈迦様に向って云ひました。「師よ、私は此の教團から去ろうと思ひます。何故なら、師は常に私達の日常生活のことを注意して説いて下さいますが、私の求めてゐる”絶対なるもの””眞理””宇宙の意志”と云う高遠な哲理を説いて下さらないかであります。」
「まあ、坐って聞きなさい」
「お前が此処を去って行くと云う事を決して止めはしない。私は教へると云ってお前を此処へ呼んだのではない。唯、皆共に佛道を歩ゆむ為に集まったのである。俺も、お前達も共に歩む者であり、此処に僧としての仏法僧の生活が行はれるのであって、教へる為、教へられる為の集りではなかった筈である。皆は仏道を行うものである、此の俺も共に行うものである。教へる教へられると云う立場をもった集りであってならない。」
 

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